あばれ祭り                  HOME  自己紹介  N1聴解

作者:桜美林大学大学院 松田 智子

 

 あばれ祭りとは、石川県無形民俗文化財となっている勇ましい祭りで、能登のあちこちで行われている。350年前、当地に悪病が流行したため、京都の神を招き盛大な祭礼を始めたところ、沈下し悪疫病者を救いました。喜んだ地元の人は、キリコを担いで神社へ詣でたのが始まりとされています。

 見所は、初日の夜に、40基の高さ7mのキリコが大松明を火の粉を浴びながら進み、乱舞する様子です。そして、2日目はキリコに加えて神輿も登場します。神輿は海や川、火の中に投げ込まれたり、地面に叩きつけられたりし、人々が暴れ回る姿は祭りの名の所以でもあり圧巻です。

 また、能登の祭りでは、「ヨバレ」という招待風習があり、各家庭で親戚や知人、仕事でお世話になっている人などを招いて、この日のために特別に用意した「ごっつぉ(ご馳走)」でもてなします。近年は仕出しも増えてきましたが、本来、自宅ですべての料理をつくります。準備は1年をかけて食材を集めるところから始まります。能登では祭りに招かれることを「呼ばれる」と言い、それが語源になったものと言われています。祭りの当日は、集落の家々の玄関や窓が開け放たれ、誰でも出入りできるようになっており、「ごっつぉ」を食べながら、キリコが練る光景を見物します。
 これらの能登の祭りは、近年、全国から注目されていますが、過疎化・高齢化等によりキリコの担ぎ手が不足し、開催困難になる祭りも出てきています。その影響もあって能登の祭りで車輪のついたキリコが増えてきています。キリコを担ぐことによって,キリコが生きているような躍動感がでてくるという面もあるので、大変残念なことです。

 こういった問題を解決するため、本来であれば祭りに参加できるのは、地元の人か本籍を地元に移した人に限りますが、最近では石川県内の大学生や高校生を対象としたインターシップとして担ぎ手として参加することも可能となっています。また、県内、国内だけではなく、海外からも受け入れることにより継続可能なものとなるよう自治体も努力しているようです。皆さんも興味があれば観光としてだけではなく、担ぎ手として参加してみてはいかがでしょうか。お待ちしております。

 

能登には、温泉や自然、輪島塗などの伝統工芸品もたくさんあります。ぜひ観光にお越しください。

「能登のやさしさや土までも」:能登の人は基より、土までもやさしい(柔らかい)という意味。